転職をするためには何か資格を取ったり、経験を積むべきではないか。
転職を考える人であれば、1度は考えたことがあるでしょう。
調理師も同じです。
調理師の転職に資格や経験は必要ではありませんが、取得しておくことでキャリアアップにもなるし、有利に働くことは必ずあります。
今回は調理師が転職活動をする際に役立つ資格や免許、経験について紹介します。
また、取得しておくことでどのようなメリットがあるのかも、併せてお伝えするので参考にしてください。
Contents
調理師が転職活動のために資格取得や経験を積むメリットは?

転職活動のために資格取得や経験を積むメリットは、3つあります。
- 客観的にスキルが把握できる
- 知識や視野が広がる
- 資格を取得することで手当てがつく
客観的にスキルが把握できる
転職するときに大切なのは、あなた自身のスキルや経験が「どの程度のものか相手に伝えられるか」ということです。
調理師の免許だけでは、あなたがどれだけ凄い腕前の持ち主なのか、技術や経験・能力があるのか採用担当者にうまく伝わらない場合があります。
より専門的な資格の取得や経験を積むことで、客観的にあなたの能力を判断するひとつの指標として活用してもらえます。
また資格や経験内容によっては、あなたの努力や向上心、調理師としての姿勢を正しく伝えることが可能です。
知識や視野が広がる
調理師だけに限らず、資格取得や経験をした分だけ、すべてがあなた自身の知識として増えることになります。
得られた知識はメニュー開発や調理方法など、あらゆる場面で役に立つはずです。
たとえば栄養関係を学ぶことで、最近注目の集まっている健康食材をメニューに取り入れるなど、着眼点を少し変えて物事を見ることもできます。
知識だけではなく視野も広げることで、誰にも思いつかないことができるようになります。
資格を取得することで手当てがつく
会社や店舗、業種によっては、資格取得者には基本給以外に手当てが支給される場合があります。
たとえば病院だと、「給食用特殊料理」という専門調理師の資格があれば、転職がかなり有利になるだけではなく手当てを付与してくれることが多いです。
調理師が転職活動で有利になる資格や免許
調理師で転職をする際に有利になる資格や免許を紹介します。
調理師

国家資格です。
調理法だけではなく、栄養や衛生など食に関することの知識全般が問われる資格であると同時に、「プロの料理人」という証明にもなります。
調理師として転職する場合には、必須の資格です。
2パターンあります。
①厚生労働大臣が指定する調理師養成施設に1年以上通って卒業する
②多人数に調理した飲食物を提供する施設や飲食店で、調理の実務経験を2年以上積んでから調理試験に合格する
専門調理師・調理技能士

国家資格です。
調理師免許よりも、より専門的で高度な調理技術を習得した調理師が得られる資格です。
「すし料理」「中国料理」「給食用特殊料理」「日本料理」「西洋料理」「麺料理」の6つの料理区分があります。
調理師免許を取得してから8年以上(調理師学校卒業者は6年以上)の経験を積んだあと、厚生労働省の定めた学科・実技試験に合格する
ふぐ調理師
都道府県での資格で、名称も「ふぐ包丁師」「ふぐ取扱者」「ふぐ処理師」「ふぐ調理士」「ふぐ取扱登録者」「ふぐ調理者」と地域によって異なっています。
以下、「ふぐ調理師」で統一して説明していきます。
ふぐを調理するときには必須となる資格で、ふぐ調理師の資格がなければ調理できません。
ふぐを調理することの多い和食業界では、非常に重宝されている資格です。
ふぐ調理師の免許や資格は各都道府県が個別に定めているため、都道府県によって資格取得の条件や難易度が異なります。
東京都では筆記試験と実技試験が必要となりますが、地方公共団体によっては講習のみで実技試験のないところもあります。
また都道府県をまたいでの就職・調理については、新たに資格を取得する必要があります。
栄養士
都道府県の知事が認定しますが、国家資格です。
栄養や食品衛生に関してのプロであり、食や健康に関する正しい知識や技能を持っていることを証明します。
2年制から4年制までの栄養士養成施設または管理栄養士養成施設へ入学して、卒業と同時に取得。
4年制大学や短大、専門学校がある。
管理栄養士

厚生労働大臣が認定する国家資格です。
栄養士の上位資格となります。
より栄養や衛生に関する知識があることを示す以外にも、栄養指導などを通してアドバイスすることができるようになります。
2パターンあります
①栄養士養成施設卒業後、施設が2年制の場合は3年、3年制の場合は2年、4年制の場合は1年の実務経験を経て管理栄養士国家試験の受験資格を得たあと、合格する
②管理栄養士養成施設の課程を修了後、管理栄養士国家試験に合格する
フードスペシャリスト
国家資格では無いものの、日本フードスペシャリスト協会会員である大学・短期大学などでしか取得できない資格です。
食の本質が「おいしさ」「楽しさ」「おもてなし」であること、食に関する幅広い知識と技術を身に付けた専門家であることを示します。
フードスペシャリスト養成機関である大学・短期大学などで特定の科目を修得し、試験に合格する
パン製造技能士

国家資格で、特級・1級・2級の3つのレベルがあります。
パンを作ることは無資格でも可能ですが、取得することで知識や実力を証明することができます。
ホテルやレストランをはじめ、パン屋やパン製造大手メーカーなどを目指している場合は、持っていると就職が有利になります。
各級によって異なります。
1級・2級は学歴などで細かく指定されています。
<2級>
①2年以上の実務経験者
②専門高校・短大・高専・高校専攻科卒業者の指定学科修了者
③厚生労働大臣指定の専修学校・各種学校卒業者で800時間以上修了者など
<1級>
①7年以上の実務経験者
②2級合格者で、2年以上の実務経験者
<特級>
1級合格後、5年以上の実務経験者
製菓衛生師

国家資格です。
製菓のプロという証明になり、ホテルやレストラン、スイーツ専門店などで有利になります。
お菓子だけではなく、パンや栄養・衛生に関する知識を持っていることも証明できる資格です。
2パターンあります。
①厚生労働大臣の指定する製菓衛生師養成施設で1年以上、必要な知識や技能を修得後、国家試験に合格
②中学校を卒業した者で、2年以上お菓子店などで製造の実務を経験した後、国家試験に合格
野菜ソムリエ

民間資格です。
野菜やフルーツの目利きや、栄養や素材に合わせた調理法の知識を持っていることの証明になる資格です。
日本野菜ソムリエ協会の講座受講後、修了試験に合格する
ほかにも民間資格である「ソムリエ」や「唎酒師」もおすすめです。
直接調理に関わる資格でないものでも、食に関する知識や視野が広がることで料理に合うお酒を選びやすくなったり、お客さんとの話のネタにもなります。
料理を作るだけではなく、栄養にも通じることで近年の健康ブームに乗ることもできます。
新たなメニュー開発にも必ず役立つことでしょう。
調理師が転職するのに有利な経験
調理師が転職活動をするときに有利になる経験は、主に2つあります。
- 本場での修行経験
- マネジメント経験
本場での修行経験
フレンチならフランス料理、中華料理であれば中国というように、料理の本場である海外で実際に経験を積んだ人は転職でも有利になります。
もちろん現地で働いた経験が無くても一流の料理人はたくさんいますが、海外での修行経験があることで
- 行動力
- 向上心
- 本場でしか得られない知識
の3つを身に付けていることをアピールできます。
専門料理店で働いている人よりも採用担当者に好印象を与えられるので、評価は間違いなく上がります。
マネジメント経験
調理師に求められるものは、料理の腕前だけではありません。
中でも料理長候補となると調理の技術だけではなく、調理スタッフを管理する能力も必要です。
スキルアップを目指すのであれば、マネジメントの経験を積んでおくことは決して損にはなりません。
転職活動を有利に進めるために、資格や経験を積もう!
調理師も資格を取得したり経験を積むことで、よりあなたが希望する業種への転職を有利に進めることが可能です。
しかし採用に有利になる資格や経験は、時間が必要となるのもまた事実です。
見込み段階であったとしても、「資格取得のために行動している」ことは前向きに捉えられ、必ず内定をつかみ取ることができます。
少しでも効率よく転職活動を進めるためにも、早いうちから行動を開始しておきましょう。