転職理由や退職理由を聞かれたとき、どんな受け答えをすれば良いか、あなたは知っていますか?
調理師の採用面接もほかの職種と同様、前職の退職や転職理由、志望動機について必ず聞かれます。
採用担当者は質問することで、履歴書や職務経歴書からでは分からないことを判断します。
また、あなたは面接官に採用することもメリットを直接訴えることも可能です。
今回は調理師の面接で、どのように受け答えをするとライバルに差をつけることができるか教えます。
Contents
面接で転職や退職理由、志望動機を聞く理由

採用担当者は面接で、履歴書や職務経歴書だけでは判断できない「あなたの人柄」を見ています。
- 採用してもすぐに辞めないか
- 会社やお店の雰囲気に合うか
- 他のスタッフとうまくやっていけるか
など、実際にあなたに会って総合的に判断しています。
そして転職理由や退職理由を直接質問することで、
- 書類審査に通過するために書いた、上辺だけの文章なのか
- 本音はどう思っているのか
などをあなたの反応や話し方、受け答えの仕方で本心を探っていきます。
採用担当者は、前職を辞めた理由がポジティブな内容だけではないことはお見通しです。
だからこそ、応募者が答えにくい質問をあえてすることで、あなたの本音や人柄を引き出そうとするのです。
面接で転職や退職理由の説明するときの注意点

面接中に転職・退職理由を説明するときは、2点を注意しましょう。
- 不平不満や悪口は絶対に言わない
- ポジティブな言葉で伝える
不平不満や悪口は絶対に言わない
一般的に「面接では転職や退職理由は前向きに答える」というのは、転職希望者にとっては周知の事実となっていますが、やはり大切なことです。
あなたが採用担当者だったとして、
「時間外労働は多いし、給料は安すぎる。ブラック企業だったので辞めました」
「仕事量は多い、職場の雰囲気は最悪、出世もしない。通勤も遠かったのでしんどくて退職しました」
このように不平不満ばかり言う人を、どう思いますか?
もちろん、仕事を辞める理由としては多いですし、きっとあなたも同じような理由で退職を考えているでしょう。
ですが、すでに辞めた職場であったとしても、前の職場への文句や社員の悪口を聞かされても良い気にはなりませんよね。
「空気が読めない人だな」
「社会人として、本音と建前も使えないのか」
「同じ理由で辞められるかもしれないな」
と評価を下げられてしまいます。
不平不満や悪口は、絶対に面接では言わないようにしましょう。
ポジティブな言葉で伝える
前の職場を辞めた理由がネガティブであったとしても、面接では絶対にポジティブな言葉に言い換えてください。
人は前に進もうとしている人を応援したくなるものです。
どれだけ前職で大変でつらい想いをしてきたとしても、一切表に出さない人の方が
- 忍耐力がある
- 活躍できる舞台があれば、今までの経験が開花するかも
- 苦労や悩みを知っているからこそ、うまくやっていけるかも
と期待を持つことができます。
また調理師を始め、飲食業界の職種は実はとても狭いので、採用担当者はあらゆる情報を持っています。
「A企業は万年人手不足で、新人がなかなか育たない」
「B会社は仕事量が多くて、給料も低い。離職率が高い」
「C病院の系列は早朝勤務が多く、残業代が出ない。ブラックだと噂がある」
悪い情報ほど、どの企業もしっているものです。
そのため、あらかじめ採用担当者側は面接する前に、「なぜ辞めたのか」という理由はある程度把握していることがほとんど。
退職または辞めたい理由を推測したうえで、面接をしているのです。
その上で、あなたが「どれだけ仕事に対して前向きに考えているのか」という心意気を聞きたいのです。
調理師の転職や退職理由、志望動機の回答例

面接で転職理由や退職理由を聞かれたとき、どのように回答すると好印象を面接官に与えることができるのか。
また、志望動機はどう答えると評価が良くなるのか。
それぞれの理由に応じて、回答例を紹介していきます。
給与や労働条件が理由の場合の回答例
給与面や労働条件が不満で転職や退職を考えた場合、ポジティブに考えると「キャリアアップしたい」「新しい環境でチャレンジしたい」と言い換えることができます。
給食会社の調理師として、病院で働いています。急性期病院のため、患者さんの健康に配慮した食事を管理栄養士さんと相談しながら、おいしい治療食を提供できるように努めてきました。
しかし患者さんと直接顔を合わす機会もなく、いつしか閉鎖的だと感じるようになりました。
もっと自分の発想を料理に活かし、直接お客さんとやりとりのできる環境で働きたいと考え、退職を決意しました。
御社では病院の経験を活かし、塩分や糖質制限の調理方法の工夫や、現在人気のある健康食材を使ったメニュー開発の提案をしていきたいです。
給食会社の調理師は、低収入かつ労働環境が悪い会社が多いです。
しかし、面接で退職理由を素直に言うとマイナスの印象を与えることになります。
病院特有の「閉鎖的」な部分を強調し、開放的な職場で働きたいことをアピールしましょう。
新卒で居酒屋チェーン店に就職し、10年勤めました。副店長まで昇格し、店舗運営や人事管理などに携わってきましたが、勤務時間が長いうえに夜型の生活だったので、働き方を変えたいと考えるようになりました。
家族との時間を大切にしながら、長く勤められる環境で働くために退職を決意しました。
居酒屋をはじめ、レストランなど遅い時間まで営業している飲食店は多いですよね。
結婚して子供もいる場合は特に、日中への仕事に変更したいもの。
レストランなら日勤もありますが、居酒屋となると転職を余儀なくされます。
「どうしても転職せざるを得ない理由」を前面に出すのも、方法のひとつです。
人間関係が理由の場合の回答例
人間関係が悩みということを前向きに言うと、「仕事仲間と気持ちよく働きたい」「仕事に集中できる環境で働きたい」となります。
前職で学んだ経験をどのように活かしていきたいか説明することで、退職理由としてマイナス印象を与えることを防ぐことができます。
個人経営のパン屋で働いていました。パン酵母もすべて自家製で、黙々と仕事をこなす職人気質の社員が多い職場でした。
自分には他のパン職人と声をかけあいながら連携してパンを作ったり、新商品開発や販売方法を検討する方法が合っていると感じ、転職に踏み切りました。
「職人気質」と言われると、「頑固者」「意見が通りにくい職場」というイメージが伝わります。
その中で自分自身がやりたいこと、挑戦したいことを伝えることで、前向きな意見として評価されます。
バイキング専門のチェーン店に勤めていましたが、自分には1人1人のお客様と向き合って接する方が向いていると感じ、退職しました。
前職では和食から洋食、中華料理やフレンチ料理までひと通りの仕込みや調理、盛付をこなしていたので、この経験を活かして貢献していきたいです。
大きな職場になってくると、職場内の人間関係は複雑になってきます。
その中で人間関係の悩みを面接で伝えてしまうと、「大人数の職場は向いていないのでは」と懸念されてしまいます。
その部分は伏せて、あくまで「お客様との時間を大切にしたい」とアピールの方法を変えましょう。
結婚が退職理由の回答例
「結婚を機に退職した」と聞いて採用担当者が心配になるのは「家族の都合で、また転職や退職するのでは」という点です。
また女性に対しては、「妊娠・出産で辞めてしまうのでは」ということも気になります。
採用担当者を安心させるためには、
- 働くことに対して、家族の理解があることを伝える
- どんな仕事をしたいのか具体的に話す
- 長く働きたいことを伝える
の上記3点を心がけましょう。
妊娠・出産に関しては、最近は面接で聞くことは「セクハラにあたる」として質問されることは減りつつあります。
また、自分から切り出す話題でもありません。
結婚に伴い、転居が必要だったため退職しました。結婚しても変わらず仕事を続けたいと考えており、主人も就業に賛成してくれています。前職の経験と主婦目線の意見を取り入れながら、長く勤めていきたいです。
妊娠・出産に関して聞かれた場合は、面接では「しばらく予定していない」と話すのがベターです。
それでも「何年後を予定しているのですか?」など、プライベートなところまで突っ込んでくる場合もあります。
妊娠・出産しても働き続ける意欲があること、出産後も家族のサポート体制が整っていることをアピールしましょう。
正直な気持ちを伝えることでトラブルの回避はできますが、個人的にこのような職場は妊娠・出産後は働きにくい可能性がかなり高いので、転職先としてはおすすめしません。
短期間で退職した場合の回答例
調理師は多忙な仕事であるため、短期間で退職する人も少なくありません。
採用担当者も「なぜすぐに辞めたんだろう」「雇ってもすぐ辞めるのではないか」と感じています。
あなたが短期間で辞めざるをえなかった理由を、丁寧に説明しましょう。
調理師として入社したものの、実際の仕事は食器洗いや清掃ばかりでした。半年経過しても仕込みや盛り付けもさせてもらえず、「このままでは調理師として働けない」と危機感を感じ、退職を決意しました。
今は調理師としては未熟ですが、前職で衛生面に関する知識をしっかり学びました。今後は調理に関して腕を磨き、現場を指揮できるようになりたいです。
単に「しんどかった」「辛かった」だけではなく、短期間の勤務期間の中で何を学んだのかをアピールしましょう。
その上で、なぜ辞めることにしたのかを採用担当者が納得いくように説明することが大切です。
不満や愚痴にならないように気を付けて伝えましょう。
閉店や会社都合の退職が理由の場合の回答例
閉店や会社都合での縮小などでの退職となった場合、あなた自身の落ち度は大きくありません。
逆に「これからは何をしたいのか」を伝えることで、プラスの印象を与えることができるチャンスです。
専門学校を卒業してから今まで、個人の日本料理店で刺場を長く経験してきました。
カウンターキッチンでお客様と向き合う仕事にやりがいを感じていましたが、店主が高齢で体調を崩したことで閉店することになりました。
しかし今回の出来事をチャンスと捉えて、より日本料理を極めるために御社で学びながらも、今までの経験を活かしていきたいです。
前職の焼き鳥屋チェーン店が縮小したことがきっかけで、退職することにしました。
今まで以上に鶏肉のおいしい食べ方を極め、お客様に喜んでいただけるメニュー開発に取り組んでいきたいです。また店舗経営について学び、御社の発展に貢献していきたいです。
退職理由は簡単に述べ、今後あなたが目指したい姿を語ると「仕事について前向きに考えているな」「引き続き同じ業界でやっていきたいと、やる気に満ちているな」という印象を与えられますよ。
体調不良で退職した場合の回答例
調理師の仕事は激務のことが多く、体調を崩したり、精神的に追い込まれることで退職を余儀なくされる場合もあります。
病気が原因で退職した場合は、他のことを退職理由にするのは避けましょう。
特に前職とブランクがある場合、採用担当者から見れば「この期間は一体何をしていたんだろう?」と疑問や違和感しか残りません。
正直に病気が原因で退職したこと、今は完治して周りの人と変わらずに働ける状態であることをハッキリと伝えましょう。
前職の仕事は非常に激務で、長時間勤務や休日出勤が続いたことが原因で体調を崩し、退職しました。その後養生し、今では体調も回復しています。調理の仕事は確かに大変ですが、とてもやりがいのある仕事です。体調管理に努めながらも、前職の経験を活かせる部署で働きたいと考えています。
病状や症状を自分から話す必要はありませんが、採用担当者から聞かれた場合は正直に答えましょう。
「○○の症状で3ヶ月通院・休息が必要でしたが、現在では通常生活を送っています」と状況を簡潔に説明し、問題なく働けることを付け加えておきます。
あなた自身の病歴を伝えておくことで、会社によれば事前に配慮をしてくれるところもあるので、隠さずに伝えましょう。
内定欲しさにウソは絶対に言わない

退職の理由がポジティブな内容ばかりであれば話しやすいですが、実際はネガティブな理由が多いのが事実です。
面接で退職や転職理由を伝えるときは、ネガティブな内容につながらないように言い方を工夫しましょう。
また悪い印象を隠すために、ウソをつくのはダメです。
たとえば、
- マネジメント経験がないのに、経験があるように話す
- 社内コンテストで受賞歴があるように装う
などは、すぐにばれてしまいます。
選考中や入社後にウソが明らかになると経歴詐称として訴えられたり、最悪の場合、懲戒解雇の処分を受ける恐れも。
調理師をはじめ、飲食店業界は意外と狭い業界です。
どこからウソがばれるか分かりません。
「採用されたい」「内定を勝ち取りたい」という意気込みは良いですが、決してウソは言わないようにしましょう。
退職や転職理由を前向きに伝えるのが、内定を勝ち取る近道

採用担当者が面接で退職理由を聞くのは、
- あなたの人柄
- あなたの仕事への姿勢や意欲
を見極めるためです。
前職での不平不満や悪口、グチは言わずに、前向きな表現に言い換えることで、
と相手に良い印象を与えられます。
面接という限られた時間で、採用担当者に好印象を与えることで内定が近づくのです。
前向きな理由になるように回答例を参考にして、ぜひ内定を勝ち取って下さいね。